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【本の一部無料公開】 サブスクリプション成功の鍵は、カスタマーサポートへの潤沢な資産の割り当て

「オウケイなハナシ」編集部です。オウケイウェイヴ副社長の初書籍『サブスクリプションの夜明け』が発売されました。副社長佐藤がオウケイウェイヴ内にサブスクリプション事業モデルを浸透させたプロセスをまとめています。今回、本の核心部分を公開し、皆さんのビジネスの何かしらのヒントになれば嬉しいです。

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佐藤 哲也(さとう・てつや)
株式会社オウケイウェイヴ 取締役副社長 COO
1961年、静岡県生まれ。明治大学を卒業後、株式会社リコーに入社。 その後、日本マイクロソフト株式会社を経て、2013年に株式会社オウケイウェイヴに入社。 事業部長として OKBIZ. を中心とした法人向けビジネスを統括。2014年、取締役 CMO に就任。2019年より取締役副社長 COO に就任。


定期課金モデルで状況を打開したマイクロソフト

私がサブスクリプションというビジネスモデルに初めて接したのは、マイクロソフト在籍時代です。

マイクロソフトが一躍有名になったのは、インターネットを世界中の一般ユーザーへ普及させるきっかけとなったOSである「Windows95」でした。それにともない、ビジネスアプリケーションのパッケージである「Office」シリーズも爆発的に売れました。ゲーム機やパソコン端末もつくっています。いい商品を作ったからこそ、世界中の皆がその商品を買ってくれる。そういう従来型のビジネスモデルを追い風にして、マイクロソフトは成長してきました。

ただし、そういった「売切り」を前提としたビジネスモデルの大変なところは、ヒット作を安定的に出せなければ、売れ行きがすぐに落ち込んでしまう点です。「95」のように、Windowsのパッケージを店頭で並んで買う人は、現在まず存在しません。熱狂はいずれ冷めてしまいます。Appleをはじめとしたライバル企業も強くなっていますし、マイクロソフトは業績の不安定な時期を味わってきました。

そこで、売切り型のビジネスモデルからの脱却を目指して、マイクロソフトが当初打ち出したのは「アニュイティ型(annuity 年額課金型)」というビジネスモデルでした。

売切り型ですと、一度販売すると購入者はずっと使っていられます。しかし、アニュイティ型にすることで、1年間、3年間、5年間などの使用期限を設けて使ってもらえるようになります。商品やサービスを販売するというより、その「利用権」を販売するイメージです。そうしたアニュイティ型のサービスをマイクロソフトは主に法人向けに展開していました。しかし、売切り型の商品、サービスが前提に占める売上げの割合がまだまだ大きかったので、まだ移行期の狭間にいたといえます。そうしたタイミングで私はオウケイウェイヴに転職することにしたのです。

オウケイウェイヴを転職先に選んだ理由

マイクロソフトでは移行途中だったサブスクリプションの事業モデルが、これからの時代のビジネスの基本になる予感はしていました。なぜなら、サブスクリプションこそ、顧客と企業の長期的な信頼関係を主軸にしているからです。

顧客満足を継続的に提供すればするほど、それだけ売上げが拡大していくのです。そして、将来の月の売上げをおおよそ安定的に予測できるというメリットもあります。売上げが派手に上昇していくことは少ないですが、よほど会社の信頼が失墜するような不祥事が起きない限りは、売上げが急激に落ち込むこともありません。将来の売上げをある程度見越せることは、経営者にとっての安心材料でもあります。

そして、将来の収益を見据えて、広告宣伝などの「次の一手」を早めに打てれば、経営者にとって使える武器が増えることをも意味するのです。私がオウケイウェイヴに注目した最大の理由には、ほぼ創業当時からサブスクリプションモデルによって事業を展開していた点があります。

OKBIZ.の前身であるQuick-Aは、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)として、まだ「クラウド」というネット用語が普及する前から、インターネット上でソフトを提供しています。Windowsなどのようにパッケージソフトの売切りを前提としていないからこそ、最初から「月額課金」という発想にもとに事業を進めてきています。

オウケイウェイヴへ私が転職した2013年当時、サブスクリプションの威力や将来性について、先駆者である兼元(*)らに比べ、その魅力を社員がそれほど理解していない、そんな雰囲気を感じ取りました。

その頃を前後して、マイクロソフトはサブスクリプションへの転換を模索しており、現在では「Office 365」のような年額・月額課金モデルも一般化しています。従来型の売切りモデル(永続ライセンスモデル)の「Office」シリーズよりも、「Office 365」のほうを積極的にプッシュしているほどです。

(*)オウケイウェイヴ創業者の兼元謙任

サブスクリプション時代の最重要部門

売切りモデルであれば、商品を引き渡して代金を受け取れば、基本的には契約が終わりです。利用時の疑問点に回答するなど、最低限のアフターサービスはありますが、たとえリピートに繋がらなくても、一回的な契約で十分な収益を得られています。よって、売切りモデルでは永続ライセンスさえ顧客に販売すれば、企業としての責務をほぼ終えているのです。

高額の商品を販売することに注力した結果、販売後の展開が疎かになりやすいのです。顧客と企業との間で長期的な信頼関係を維持するのは、かえってコストが増します。クレームに繋がってネガティブな口コミに繋がりかねない失礼な行為をしなければ、企業として十分なのです。ただし、カスタマーサポートは「面倒くさい」「コストのかかる部署」という認識が社内で広まりやすくなり、サポート部門に予算が投入されづらい根源ともなっています。

その一方で、サブスクリプションモデルでは、顧客と企業の良好な関係を中長期的にキープできなければ、顧客からすぐに解約され、企業は損失を出してしまいます。サブスクリプションは初期投資が少なくて済みますし、「初月無料」などのお試しサービスも浸透していますので、顧客にとって契約を締結するハードルは低いのです。入口は広く開放しておき、そこから関係性を深く、長期的に育てていくことで、大きな実りに繋げていくことができます。「初月無料」の期間内に解約する人は、最初からサブスクリプションの顧客にはなりえない属性の者として扱って、企業はそれ以上追いかけるべきではありません。

しかし、課金を決めた顧客に対しては、手厚くサポートを講じなければなりません。

「金の切れ目が縁の切れ目」ということわざがありますが、サブスクリプションモデルの下では「縁の切れ目が金の切れ目」となります。サブスクリプションモデルで顧客を長期的に満足させられないと、収益はわずかしか得られないか、足が出てしまうのです。

つまり、顧客とのいい距離感を保てるカスタマーサポート部門こそが、企業に長期的な安定収益をもたらす最前線の部署となります。優秀な人材を営業部門から割り当てることも、サブスクリプション時代には有力な選択肢です。もちろん、カスタマーサポートに潤沢な資産を割り当てる決断をできる企業が、サブスクリプション時代の経済圏では成長しやすくなります。

「サブスクリプションの夜明け」 目次

第1章 サブスクリプションひとすじ20年 OKBIZ.という顧客総合サポートのビジネスモデル
■ OKBIZ. 現代的なサブスクリプションサービスの先駆け  
■ OKBIZ. のラインナップ(2020年1月現在) 
 ・OKBIZ. for FAQ
 ・OKBIZ. for Helpdesk Support
 ・OKBIZ. for Community Support
 ・OKBIZ. for AI Chatbot
 ・OKBIZ. for AI FAQ Maker
■ 顧客と「繋がり続ける」ほど稼げるビジネスモデル
■ サブスクリプションの難しさとは何か?

第2章 OKBIZ. の前身「Quick-A」の誕生から成長まで 加藤義憲(開発本部本部長)

■ オウケイウェイヴ入社前から「法人向けQ&Aサイト」に関心
■ 巨大企業からベンチャー企業へ決意の転身
■ サブスクリプションという用語の普及前から、月額課金を開始  
■ 企業から求められて開発されたはずの Quick-A、いきなりのつまずき
■ お客様の声を、直接聞き取る日々
■ 新バージョンの完成、新鮮な喜び
■ 直接コミュニケーションで、精度を上げる
■ 厳しい声に真摯に耳を傾けたことが、成長の起爆剤だった
■ 時間の交替制で、システムダウンを常時監視した時期も
■ プログラミング言語を全面的に変更しても、使い勝手は変えない  
■ 開発者が利用者に対し「便利さ」を押しつけてはならない
■ 専門家に任せても、丸投げはできない
■ ベンチャー企業からの「脱皮」へ 
■ ユーザーから見えない部分も積極的に改善させていく
■ 分業制になっても、技術者は顧客から離れすぎてはならない 
■ ユーザーフレンドリーを徹底することの落とし穴
■ 中小企業の顧客サポート部門も、システムで支援していきたい
■ OKBIZ. が世界展開していくために必要なこと
■ もし同等の機能の無料ソフトが出現しても、OKBIZ. が対抗できる理由

第3章 ナレッジマネジメントは、顧客満足のためにビジネスシーンで進化を続ける  高橋伸之

■ ひょんなことから顧客対応に追われた前職時代
■ 手作りで不便だった公式サイトのQ&A集
■ 前職では、Quick-A を利用する立場だった
■ オウケイウェイヴの「フットワークの軽さ」が新鮮だった
■ Quick-A は、問い合わせへの回答を迅速化させた
■ オウケイウェイヴの事業理念に共感
■ メーカー時代には気づかなかった、オウケイウェイヴの内情
■ 「ユーザーが主役の時代」を Quick-A がつくるとの確信
■ 「FAQマネジメント」を体系化し、出版へ至る
■ 企業の立場上、公式回答を出せない場合のソリューション 
■ FAQマネジメントの「資格」も整備
■ カスタマーサポートに予算を割く企業は、ごく少数 
■ カスタマーサポートは、売上げを向上させるポテンシャルを秘める 
■ カスタマーサポート部門がなくても、FAQマネジメントが役立つ
■ ひとりひとりのお客様と、真剣に向き合うためのシステム
■ 日本は、ナレッジマネジメントが育ちにくい文化圏かもしれない
■ 言葉にならないナレッジを、言語化して管理するシステム 
■ SNSの企業アカウントは、個人アカウントと交流すべきか
■ メーカーは「ハイテク」でなく「顧客本位」にシフトせよ 
■ カスタマーサポートを充実させれば、マーケティングも解決する
■ OKBIZ. はサブスクリプションで、顧客第一主義を徹底する

第4章 「顧客満足」こそが企業の財産 サブスクリプションの未来  佐藤哲也(取締役副社長COO)
■ マイクロソフトからの転身
■ 定期課金モデルで状況を打開したマイクロソフト 
■ オウケイウェイヴを転職先に選んだ理由
■ サブスクリプションの先駆者に、サブスクリプションの真の価値を伝える
■ サブスクリプション時代の最重要部門
■ 企業と顧客の、いい意味での緊張関係
■ 月額1万円を10人に10か月売れば、100万円を超える売上げを望める
■ 近い将来、カスタマーサポートが企業の花形として再評価される
■ サブスクリプション時代には、営業部門の評価が下がる可能性
■ サブスクリプション時代に適応する人事評価を導入すべき 
■ 花形部門のカスタマーサポートを、システムの力で支える
■ ユーザー同士の交流を深める場が、サブスクリプション解約を防ぐ
■ FAQは、企業キャンペーンの効果を引き上げる可能性がある
■ サブスクリプションの利用なし顧客は、放置すべきか 
■ 利用なし顧客は、ファンに転換できる可能性がある
■ 解約リスクを低減させるために
■ 利用が急に途切れたときは、要注意
■ サブスクリプション顧客は、バージョンアップの恩恵を受けやすい
■ 乗用車のサブスクリプションが示す未来
■ サブスクリプションは、形だけ真似しても意味がない
■ サブスクリプションの可能性を、株主に説明する難しさ
■ 課金額を適切に設定するコツ
■ CSは、「顧客満足」から「顧客成功」へ
■ 次の一手は「原点回帰」


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